CEDECの本:その2
シャチョーの趣味と実益を兼ねたゲーム関連書籍の紹介、10冊目。
前回、ゲーム業界の研究発表の場であるCEDECというイベントと、そこで登壇した方によるエッセイ『ゲームクリエイターが知るべき97のこと』という本を紹介した。ゲーム関連書籍は通常、ゲームデザイン、グラフィック、プログラムなど専門性の高いテーマに絞って書かれていることが多い中、この本はゲームに関するさまざまな職種の人が寄稿しており、幅広いテーマに接することができるのが面白いと評した。今回取り上げるのは、続編となる『ゲームクリエイターが知るべき97のこと #2』。タイトルだけ見ると前作の踏襲っぽいが、いざページをめくると構成こそ同じだが執筆者がガラッと異なり、内容も前作以上に多種多様。
『ゲームクリエイターが知るべき97のこと #2』
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というのも、前作の執筆陣がCEDEC登壇者が中心だったものが、今作は国際ゲーム開発者協会(International Game Developers Association, IGDA)の開発者を中心に編纂されているのが大きなポイント。IGDAとは世界最大級のゲーム開発者国際NPO。企業、法人が主体ではなく、あくまで個人が対象であり、プロ、アマの隔てはない。
IGDA日本のホームページがこちら。NPO法人だけに遊びのないシンプルなデザイン。ページ内にある、IGDA日本のミッションより引用。
この法人は情報化社会の進展と共に、デジタルゲーム制作技術が特定の産業界にとどまらず、広く社会全般に応用が進む現状をかんがみ、デジタルゲーム開発者・関係者が集中する東京の地理的特性を活かしつつ、諸団体の国際的な架け橋となり、産官学連携の一翼をになうことで、高い文化・芸術・教育・社会・経済的価値を創出し、よりよい社会を建設するための活動を行うことを目的とする。(NPO設立趣意書より)
エンターテインメントの枠に収まることなく、様々な分野で社会貢献をしましょう、という趣旨かと。したがって本書ではいわゆる「商業的なビデオゲーム」だけでなく、その周辺や新しい切り口のテーマなども多く触れられているのが特徴である。
ARG(代替現実ゲーム)、シリアスゲーム、ゲーミフィケーション、インディゲーム、同人活動、人工知能、ローカライズ、ハッカソン、アナログゲームなどなど。もちろん王道のゲームデザインに関する寄稿やグラフィック、プログラム関連のテーマもあり、ふり幅が非常に広い。前作同様、気になるところだけ流し読みするもよし、これを機会に知らないことを吸収しようという意図なら初めから読むもよし。
前回にならって個人的に気に入っている章を。
59章:才能がない人はゲームを作ってはいけない
77章:クリエイターはアスリートたれ
特に59章の見出しは刺激的すぎるが、読むと腹落ちすること然り。内容については読んでからのお楽しみということでここでは触れない。どんな職業においても当てはまることなので、私もこうありたいな、と思いながら仕事に取り組む所存であります。おススメです!