
印刷用データの基本要素
こんにちは、新人デザイナーの佐藤です。
今回は、印刷用データを作成するうえで押さえておきたい基本要素について、自分なりにまとめてみたいと思います。
というのも、最近印刷物の資料を作成する機会があり、その際にどのような点を意識して制作すればよいのか明確に理解できていなかったことに気づきました。
これをきっかけに、印刷物ならではの仕様や注意点について整理し、必要な基礎知識を身につけておきたいと思い、この記事をまとめています。
特に今回は、印刷用データを扱う際に理解しておくべき5つの基本要素(塗り足し/トンボ/解像度/カラーモード/画像の形式)を中心に、今後の業務に活かせるような知識として整理していきたいと思います。
塗り足し
塗り足しは、仕上がりサイズよりも少し外側まで背景や画像を広げておく部分のことです。
印刷物は断裁の際にわずかにズレが生じることがあるため、それを見越して上下左右に3mmずつ余白をつけておきます。
A4サイズの印刷物なら、実際の作成サイズは216×303mmになります。
最終的には断裁されて見えなくなる部分ですが、ここまで背景や写真を伸ばしておくことで、万が一ズレたときにも白いフチが出てしまうのを防ぐことができます。
Illustratorなどのソフトでは、ファイル作成時に塗り足しサイズを指定できるので、事前に設定しておくと作業もしやすくなります。

トンボ(トリムマーク)
トンボ(トリムマーク)は、印刷後の断裁位置を示すマークです。
トンボ(トリムワーク)は仕上がりでは見えなくなってしまうので、「なんで見えないマークが必要なんだろう?」と思っていたのですが、印刷所で断裁する時に“どこで切るか”を正確に判断するために欠かせないものだと知りました。
さらに調べてみると、トンボには「レジストレーションマーク」と呼ばれる目印も含まれていて、CMYKの4色(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)がきちんと重なって印刷されているかを確認する役割もあると分かりました。
ズレがあると、細かい文字や線のまわりに色ムラやにじみが出てしまうことがあるそうで、断裁だけでなく仕上がりの精度にも関わる大事な要素なのだと実感しました。

解像度(dpi)
印刷においては、Webとは異なり、「dpi(dots per inch)」という単位で画像の密度を表します。
これは、1インチあたりに何個のドットがあるかを示すもので、印刷物では300~350dpiが基準とされています。
私自身、以前印刷用の資料を作ったときに、Webで使っていた画像(72dpi)をそのまま配置してしまったことがありました。画面上では問題なく見えるのですが、印刷してみるとぼやけていて驚きました。
その経験から、印刷に使う画像は解像度を事前に確認し、高解像度の元データを用意することの大切さを実感しました。

カラーモード(CMYK)
画面上ではRGB(光の三原色)で色を再現していますが、印刷ではCMYK(インクの4色)を使うため、同じ色でも見え方が異なる場合があります。
特に鮮やかなブルーやネオンカラーはCMYKで再現が難しく、くすんだような仕上がりになることもあります。
そのため、印刷物を作成する際はCMYKモードでデータを作成し、必要に応じて色味を調整する必要があります。
実際に、RGBで出力した鮮やかな青い空をCMYKへと変換して比較してみたのですが、CMYKでは青がくすんだ印象になってしまいました。
※これは実際にPhotoshop上でカラーモードを変換した際に、
画面上で見える色の変化を比較しています。
ビットマップとベクターの使い分け
画像には大きく分けて「ビットマップ(ラスター)画像」と「ベクター画像」の2種類があります。
ビットマップ画像は、ピクセルの集合体で構成された画像で、主に写真やWeb画像などで使われています。この形式は拡大すると画質が荒れたり、ジャギー(ギザギザ)が出てしまうのが特徴です。
一方で、ベクター画像は、点や線の情報を数式で表現しているため、どれだけ拡大しても劣化しないという利点があります。
ただし、ビットマップ画像が印刷に向いていないというわけではありません。
十分な解像度で作成・配置されていれば、写真や質感表現などにはビットマップ画像が最適なケースもあります。
目的や要素に応じて、ビットマップとベクターをうまく使い分けることが、印刷物の品質を保つためには必要だと感じました。
実際に私もデータの中でロゴなどをビットマップのまま配置してしまい、印刷でぼやけてしまう部分が発生してしまった経験があり、ロゴや見出し文字などのくっきり見せたい部分はベクター形式で作成、変換したり、アウトライン化することなどを意識しています。
これらの項目は、普段の画面上では意識することが少ないですが、印刷物の仕上がりに影響を与える重要な要素です。
- 塗り足し → 白フチ防止のための余白設定
- トンボ → 断裁と色合わせのガイド
- 解像度 → 印刷に適した画質を保つ指標
- CMYK → 印刷用の色再現に欠かせない設定
- ビットマップ/ベクター → 用途に応じた使い分け
今後は、こうした印刷用の仕様も意識しながら、用途に応じて適切なデータ形式・構成で納品できるよう心がけていきたいと思います。