CEDECの本:その1
シャチョーこと池尻です。お初の方にあらためて。本ブログでは、「ゲームに関する書籍」を紹介、ゲーム業界に興味がある方には何らかの参考に、そうでもない方にはこれを機にぜひ興味をもってもらえればという趣旨で作成されています。
今期初めてとなる一冊を何にしようかと考えることここ数日。読みやすくてためになる本はないものか、と思い出したのが今回の一冊。
『ゲームクリエイターが知るべき97のこと』
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ゲーム業界に身を置くものなら誰もが聞いたことがあるであろうビッグイベントの一つに、毎年夏に行われるCEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)がある。ホームページより抜粋する。
CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)はゲームを中心とするコンピュータエンターテインメントの開発、ビジネス、関連する技術、機器の研究開発などに携わる人々の技術力向上と知識や情報の交流を促進するためのカンファレンスです。
と書くと難しそうであるが、開発でつちかった知見、ノウハウを他の開発者にも共有し、皆で開発力を高めましょう、といった趣旨のイベントかと。普段、PCの前に長時間向き合い、オフィスから離れる機会の少ないゲーム制作に携わる人たちのお祭り的な側面もあったり。
そのCEDECが今年で20周年らしい。なんと世の中の流れの早いことか。昔はTGS(東京ゲームショー、日本で一番大きなゲームのイベント)と同時期に開催とか、大学に場所を借りたりなど知る人ぞ知るイベントだったが、ここ十数年で大規模かつ、地方でも同様のイベントが行われるなどメジャー化している感がある。
何が良いってゲームに関する、様々なジャンルの講演を一度に聞ける機会があるのが素晴らしい。プログラミング、グラフィックといった制作に直結することから、ビジネスに関することや、開発手法の事例紹介など何でもあり。今回取り上げる本は、そのCEDECで講演経験のある方たちのエッセイをまとめた一冊。
特に様々な職種の方が寄稿、というのがポイントで見開き2ページに収めるというフォーマットさえ守れば何を書いても良いらしい。興味のある職種のエッセイから読み始めるもよし、自分の好きなゲームの制作者の原稿を探して読むもよし。見出しで気になるものを選んで読むのも面白い。とはいえ、書いているのは職種が違えど、皆、ゲームクリエイター。「お客様に楽しんでもらいたい」という気持ちは、それぞれの原稿から伝わってくる。
個人的に気に入っているのは
38章:違和感を見逃さない
58章:違和感を大切に
これらはそれぞれ、プログラマーとデザイナーと異なる職種の方が寄稿している。しかし、共通しているのは「違和感」を持つのは大事なことであり、無視せず、解決する方法を常に考える重要性をあげている。キャリアも制作しているゲームもまったく異なるのに、到達点が同じというのが面白い。
こういったエッセイが題名の通り、97本掲載されている。さらに、なんとこの本、クリエイティブコモンズの理念に乗っ取り編集されているので無料で閲覧が可能なのである。
2012年と少々古いのがネックであるが、数本のエッセイを読んで気に入れば手元に置いておいても損はしないかと。編集の方が超絶大変でしょうが、願わくば、毎年刊行してほしいところ。おススメです!