ゲーム史関連:その二
不定期でゲーム関連書籍をとりあげています。昨年のまとめとしてゲームの歴史に関する書籍が多数、出版された一年と書きました。その中でも変わった切り口の一冊がこちらです。
『国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか?』
渡辺 範明 (著)
カバーのそでに本書の内容がまとめられているので少し長くなりますが全文、引用します。
「国民的ゲーム」として、日本のカルチャーに大きな影響を与えているドラゴンクエストとファイナルファンタジー。日本ではRPGがなぜこれほど人気なのか。ゲームで物語はどう表現されるようになるのか。元スクウェア・エニックスのプロデューサーで、気鋭のゲームデザイナーである著者が、ゲームシステム・世界観・制作体制に注目し、ドラクエとFFの功績をあらためて検証する。
本当にこの内容のとおりです。DQ、FFオンリー本。ゲームの歴史を語るのであればハードウェアの進化、それに伴い様々なジャンルのゲームの登場といったテーマになりがちですが、本書では、若干それらも触れますが、ほぼ歴代DQ、FFのナンバリング作品(外伝などは除いたシリーズの正当続編)だけでここ40年くらいのゲームの進化について語られています。それができてしまう両シリーズの凄さ。
もともとニッチなジャンルであったRPGがなぜここまで人気となったのか?FFはDQと並ぶ国民的RPGになぜなったのか?FF7がなぜワールドワイドで大ヒットしたのか?など、DQとFFを一作づつ振り返り、かつ発売されたハードウェアの特徴、その当時の時代背景なども含めて考察し、著者独自の、しかしきわめて客観的なゲーム史が語られていきます。
私はまさにDQ、FFによってRPGにどっぷりはまった世代なので書かれているほぼ全てに同意、納得なのですが両シリーズ(特にDQ)の発売間隔が長くなりつつある今、遊んだことがない方も多数いるかと思います。おそらく著者もそのあたりを考慮されてか、あまりマニアックにならないような気づかいを感じます。なのでシリーズ未プレイの方でも読みやすいのではないかと。
今さら約40年に渡るDQ1~11、FF1~16のすべてをプレイするのは非常に大変ですが、本書を読めばそれぞれの作品の面白さ、特徴などを知りつつ、ゲーム業界全体の進化の道程などにも自ずと触れられると思います。
なお本書はラジオ番組「アフター6ジャンクション」(TBSラジオ)内でのコーナーで語られたことをベースに加筆、再構成されたと思われます。Spotifyなどで過去エピソードも聴けるので、ご興味ある方はそちらも聴いてみてください。パーソナリティとの掛け合いなのでよりライトに楽しめること間違いなし。名物コーナー、映画評など面白い回がたくさんあるのでぜひそちらも!
ということで、DQ、FFファンの方はもちろん、あまり遊んだことない人でも大変楽しく読める本書、おススメな一冊です!