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社長日記

BOOK OF THE YEAR 2021

早いものでもう12月も下旬です。今年は開発してきたタイトルのリリース、その後は運営と非常に忙しい1年でした。2020年の3月よりテレワークに切り替えたことで、通勤時間に本を読むという機会もなくなり、本を買うペースと読むペースのバランスがうまく取れず積み本が溜まる一方です。読書以外にもゲームに動画配信、ポッドキャストなどエンタメがあふれているので大変ですね。みんなどうやって時間をやりくりしているのか気になります。

今年のゲーム関連書籍の傾向を自分なりにまとめると、
 「インディーゲーム関連」
の刊行が続いたのが特色と感じています。

『Undertale』『Among Us』といった海外のゲームだけでなく『天穂のサクナヒメ』が大ヒットしたことも関連があるかもしれません。プラットフォームもPCから家庭用ゲーム機への移植が増え、価格も安価で手を出しやすいのも良い点ですね。気になるゲームを遊んだあとで、「もっと面白いゲームがあるかも?!」と興味を持った人向けのガイド本が立て続けに出たのはそういった背景があるのでは、という気がします。

 ・『インディ・ゲーム名作選』
 ・『ゲーマーが本気で薦めるインディーゲーム200選』

「ただ遊ぶだけでなく、作ってみたい!」

インディーゲームに刺激を受け、少なからずゲーム制作の道を目指す人もいるでしょう。そんな人に向けて書かれたのが、この書籍。

 ・『インディーゲーム・サバイバルガイド』

タイトルにある「サバイバルガイド」が本書の目的を端的に説明しています。すなわち長くゲーム制作を続けていくためのノウハウがまとめられた本なのです。序文より抜粋します。

■本書の意図と対象読者

~中略、本書では、ゲームデザインやゲームの企画、アイデアの出し方など、
「ゲームの面白さ」を作ることについては解説しません。それ以外の、「つまらないけれど、必要な活動」についてまとめた本です。

通常、ゲームの本といえば「如何にそのゲームが面白いか」が書かれていることが多いのですが、本書は序文でそれには触れない、とはっきり宣言しています。では何が書かれているのか。ゲーム制作にまつわる、それ以外の雑多なこと、そして重要なこと、です。すなわち予算管理、工程管理、外部発注、契約締結、権利処理、ローカライズ、宣伝とパブリッシング等々。ゲームというのは作って終わりではなく、リリースすること、そしてリリースしたゲームを知ってもらうことの重要性について事細かく書かれているのが本書なのです。

私は長年ゲーム会社に在籍し、10年前に起業しました。ゲームメーカーにいると上記のことは業務ごとに担当部門、担当者がいてお願いすることが多いです。したがって一つ一つの事柄がゲーム制作に必要であることは、頭の中では理解できるのですが、インディーゲーム作家の人は、上記のことも全て一人で行っているということに改めて気づいた次第です。もちろんそれは大変なのでチームを組んだり、パブリッシャー(ゲームの発売を手掛けるパートナー)を頼ったりといった例も紹介されています。

逆に言うとひと昔前は資本力と一定の人材が集まる会社でないとゲーム制作は難しかったのが、いまや個人でも世界中に発信できるくらい環境が整っている、とも言えます。どうせ作るからにはより多くの人に刺さるものを目指しましょう、その際にはこういった点に気を付けましょう、と先人の知見が網羅的にまとまっています。ゲーム開発に興味がある方にとっては大変役に立つ一冊、大変おススメです!

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