ゲームデザインの本
シャチョーの趣味であるゲーム業界本蒐集よりお気に入りの一冊を紹介するブログ、今年一冊目は前回軽く触れた個人的2020年のベスト、『ゲームデザインプロフェッショナル ~誰もが成果を生み出せる、『FGO』クリエイターの仕事術』です。
『ゲームデザインプロフェッショナル ~誰もが成果を生み出せる、『FGO』クリエイターの仕事術』
本を読んでいて気になるところ、また読み返したいページなどに目印として角を折り曲げておくことをドッグイアといいますが、この本はドッグイアしまくりました。今回は自分の感想はそこそこに、本書の引用を多用しようと思います。パワーフレーズがたくさん出ますよ!こうご期待。
P.003 本書は、おもしろいゲームをつくれるようになりたい、すべての人に向けた書籍です。
P.019 ゲームデザインは、ゲーム作りにおける生命線です。
P.024 個人の感性だけに頼ったゲームデザインは、ギャンブル以外のなにものでもありません。
P.036 ゲームは、完成させること自体の難しいエンタテインメントである
P.069 ゲームデザイナーは、さまざまなチームメンバーによってばらばらに作られていったデータを、ある特定の方向へ客観的に導いていく役割を担うのです。
P.131 開発に携わる多くの人がゲームデザイナーの発注による仕事を通じて、その作業に自分の人生の時間を割いていくわけです。
P.194 年単位で続くゲーム開発のほとんどの期間、チームメンバーたちはゲームが実際におもしろくなった状態を見ることはできません。
P.216 ゲームデザイナーの毎日は、意思決定の連続です。
P.242 全部捨てる覚悟を、常に持っておく
きりがないのでこれくらいにします。
いかがでしょうか。ゲーム制作に携わる人ならグサッと伝わることばかりではないでしょうか?一つ一つの文章が平易な言葉で、かつ短いのもポイント。従来のゲームデザイン関連書籍は翻訳物が多いという理由を考慮しても、難解で専門書のように読みづらい傾向にありました。それらと比較すると、圧倒的に読みやすいのが本書です。
前回、「賛否両論な一冊かもしれない」と書いたのは、本書を読む人がゲーム制作の実務経験があるかないかで大きく評価がわかれると考えたためです。開発経験がある人が読めばほとんど体験として理解できることばかりだと思います。逆にゲームを作ったことのない人が読んでも、当たり前すぎてピンと来ないことも多々あるかもしれません。
「全部捨てる覚悟」とさらっと書いてあるので、「そうか、全部か」と読み飛ばしてしまうかもしれませんが、ゲーム制作においては、時には数年かけて作ったプロトタイプや様々なデータもあり、おそらく著者はそれすら必要であれば捨てるジャッジをすべきだ、と言っています。とても勇気が必要です。
冒頭の引用にあるように、本書はゲームデザイナー向けとありますが、「おもしろいゲームをつくりたい人」とは、すなわちゲーム制作に関わる全ての者を指します。したがって、職種問わず、誰もが読んでためになる一冊と考えました。
最後に、また引用を一つ。
P.295 ゲームデザイナーの言葉の正確さは、ゲームのクオリティに直結します。
そんなオーバーな、と思われるかもしれませんが、この前後の文章を読んでいただければ納得できるかと。身の引き締まる一冊でした。ゲーム開発に興味のある方、実際にゲームを開発しているプロアマ問わず、多くの方におススメです!