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社長日記

ゲーム音楽の本

趣味と実益を兼ねたゲーム関連書籍の紹介、というテーマでお気に入りの本をとりあげている本コーナー、今回は最近発売された「ゲーム音楽」に焦点をあてたこの一冊を。

『ゲーム音楽ディスクガイド──Diggin’ In The Discs』
田中 “hally” 治久 (著、 監修) 他

この手の本を買って一番初めにすることは、自分が手掛けたタイトルが載っているかどうかのチェックである。ゲーム制作者あるあるなので、読み流していただきたい。索引を元に何枚か確認すると、収録されているものあれば、漏れているものもある。どういう基準で選んだのかと、あとがきを読むとこうある。

過去40年間に公式に世の中に出たゲーム(関連)音盤は、配信も含めてざっと3~4万枚。それに加えて世の中には未サントラ化の作品が10万本以上埋もれている。

そんなに多いの?!それは収録されなくて当たり前だ。

本書で取り上げられている音盤(という言葉で統一されている。LP、カセット、CD、配信と収録されるメディアが時代とともに異なるからと類推)は950枚。数万枚のゲーム音楽作品から、1000枚以下に絞るのはさぞかし難航したであろう。

本書、序文より引用。

本書はゲーム音楽の歴史に散らばる何万枚ものサントラ盤やアレンジ盤から、これはという名盤たちを「音楽的な」観点から選び抜いた、ありそうでなかったディスクガイド本である。 (本書序文より)

通常はメーカー別や発売順などで紹介されることが多いが、本書はかなり個性的、すなわち「音楽的」なカテゴライズになっている。

  • 黎明期(ゲーム音楽がディスク化され、市場形成をするまで)
  • サウンドチップの音楽(PSGチップ、FM音源チップなどの全盛期)
  • 音楽ジャンルごとの紹介(プログレ、フュージョン、ハードロック等)
  • アレンジ作品(オリジナル音源と異なるアプローチ) 等々

例えば「プログレ」というくくりで紹介されているページでは、2018年発売の音盤の次に、1993年発売の別メーカーのサウンドトラックが紹介されているなど、意表を突く並びで面白い。読むほうは気楽なものだが、いざこれを実現しようとすると編者に相当な知識がないと成立しないであろう。

巻末の索引を見るだけでもその圧倒的な多彩さは際立っている。は行をつらつら眺めていると、服部隆之、浜渦正志、ハンス・ジマー、ピンク・フロイド、星野源、細江慎治と確かに職業音楽家、という観点では共通性があるが、なかなか一冊の本でこうは並ばないであろうな、と名前を見ているだけで壮観である。

CDジャケットと解説文を読むだけでも充分楽しいのだが、やはり音楽自体を聴きたくなる。ゲーム音楽はAmazon musicやSpotifyといったストリーミングサービスにも少しづつ増えているが、リリースされている音盤のごく一部に限られる。久しぶりにiTunesで録りためたお気に入りのサントラを聴いて懐かしむか… とにかく大変な労作です、おススメ!

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