名越稔洋氏の本:その1
今年も早いもので残すところ1ヵ月。いろんなゲームが発表、発売されましたが個人的にとても驚いたのが、PS4『JUDGE EYES (ジャッジ アイズ) :死神の遺言 』でした。私の周りでこのタイトルで呼ぶ人はほぼ皆無であり、ほとんどの方が「キムタクが如く」と言っています。
『JUDGE EYES (ジャッジ アイズ) :死神の遺言 』
発売:セガゲームス
http://amzn.asia/d/8Ee1OcL
セガが誇るヒットシリーズ『龍が如く』チームの最新作、主演:木村拓哉!
なんとパンチ力のあるフレーズでしょう。まさか日本で一番有名な俳優・アーティストの木村拓哉氏がゲームに登場するなんて。ふだんゲームを遊ばない人にも届く、強烈な組み合わせです。現にAmazonの検索窓で「キムタクが如く」と入力するとちゃんと『JUDGE EYES (ジャッジ アイズ) :死神の遺言 』の商品ページへ遷移します。素晴らしい。
ということで、今回は木村拓哉主演ゲームという偉業をなしとげた『龍が如く』シリーズの産みの親、名越稔洋氏に関する書籍を取り上げたいと思います。
『ゲーム屋人生 名越武芸帖』
名越稔洋 (著)
http://amzn.asia/d/9IrNWPk
2006年に発売された本なので、かれこれ10年以上前です。しかもこの本はすでに廃刊となった『ゲーム批評』という雑誌の連載コーナーを書籍化したもので、連載の開始自体はなんと2000年。なんと18年以上前なのです。つまり、『龍が如く』シリーズ発売の全然前なのですね。かといって古臭くて今では読めない、とはならないのが面白いところ。
名越氏はそのキャリアを業務用ゲームのCGデザイナーからスタートし、のちにディレクター、プロデューサーへと転身していきます。この本にはそんな名越氏のゲーム作りに対する考え、姿勢が存分に書かれています。
・ゲームを成立させる要素とは?
・新しさとはなにか?
・ゲームにおけるキャラクター性の重要さとは?
そういった制作寄りの視点もあれば、
・経営と制作のバランス
・海外市場への取り組み
・レーティングやゲームにおける倫理問題
など、ビジネス寄りの話にも触れられています。クリエイティブ視点とプロデュース視点をあわせ持つのが名越氏の強みであり、長い道のりを経て「キムタクが如く」につながるのではないか、と今回読みなおしてあらためて思った次第です。
「面白いだけではダメ、売れるゲームじゃないと!」というメッセージは本文中からも強く伝わってきます。ゲーム制作を仕事にする多くの方に読んでいただきたい一冊、おススメです!