ファミコン語りの本:その2
前回、
>友人との単なる趣味の話、あるいは個人ブログで書くような内容が書籍化されるという珍しいパターン。
と書いたものの、以前、そんな本を見た気もする… と奥歯に物が挟まったような違和感があり、自宅の本棚をがさごそと探っていたら出てきたのがこちら。
『ファミコンの思い出』
深田洋介(著)
https://amzn.to/2P94JRs
そのまんまである(笑)
もとは「思い出のファミコン」という有名サイトにて、多くの方から寄せられた思い出コラムを書籍化したのがこの本。投稿型サイトなので書き手の年齢、性別もバラバラで、ゲームのことを詳しく書いている人もいるが、多くはそのゲームを遊んだころの自分の生活や環境など、まさに各人それぞれの「思い出」がつづられている。
サイトでは、人気ゲームにはたくさんの投稿があり、マイナーなゲームは投稿すらないものなどばらつきがあるが、書籍化にあたり各ゲームの紹介が2ページに統一されている。
超名作、誰もが遊んだ『ドラゴンクエスト』も2ページ。構想が凄まじく大仕掛けで、一部熱烈なファンがいる『ディーヴァ ナーサティアの玉座』も2ページ。いろいろアレなことで有名な『ミシシッピー殺人事件』も2ページ。
しかし、ゲームの面白さとコラムの面白さは別。得てして、変なゲーム、癖のあるゲームであるほど遊び手の強烈な記憶に残り、コラムの熱量も高かったりする。つまり紹介文だけを読むと『ミシシッピー殺人事件』のほうがなぜか気になるソフトになりうるという。
この本を購入した際には、どこから読んでも良い構成なので、寝る前におもむろにページをバサッと開き、そこで紹介されているコラムを数本読んでいた。久しぶりに読み返した中で、自分でも遊んでいて、かつ「そうそう、わかる!」とうなづいたコラムがこちら。以下、引用。
『ファミリーテニス』 ナムコ 1987.12.11発売
まぎれもなく、ゲーム歴四半世紀の私の中での最高傑作。シンプルでありながら、戦略性とコケティッシュさがあり、まったく飽きなかった。もちろん今のゲームと比べ画像の粗さは否めないが、ゲーム性は今でも通用して余りある。たまに引っ張り出しては今もやってます。
私が好きだったキャラは、なんといってもふくたろう(モデルは福井烈氏)。何が良いって、ロブがフォア・バックともに割り当てられていること(Bボタン)と、ボレーが絶対にネットに引っかからない(かつコントロールできる)こと。
これに匹敵するテニスゲームはまだその後現れていません。
【のりだ 男 1967年生 東京育ち 社長】
1969年生 大阪育ち の私もほぼ同感である。打倒『ファミテニ』『ファイナルマッチテニス』が『みんなのテニス』制作時の裏テーマだったものなぁ。
ゲーム制作者視点からすると、これから作るゲームも遊んだ人の「思い出」に残るような一本となりますように、と襟を正す読み方もできるという一冊。おススメです!