Blog

社長日記

VRの本

シャチョーの趣味と実益を兼ねたゲーム関連書籍の紹介コーナー。
11冊目はコチラ。

『ミライのつくり方 2020-2045 僕がVRに賭けるわけ』
著:GOROman(近藤義仁)
http://amzn.asia/c1eG69i

GOROmanさんは日本のVRにおけるスーパーエヴァンジェリストの方。「伝道者」という役割がこれほど当てはまる人は、そうはいないと思う。一度、ご本人にお会いする機会があったのですが、仕事抜きでいろいろと制作しているVRコンテンツを惜しみなく体験させていただきました。本を読むと、飲み屋で知らない人に見せるなど、いつでも誰でもVR体験を共有するべくVR環境を一式持ち歩いていたという逸話があるくらい。まさに布教活動。

本書は5章構成。第1章は生まれてから就職するまでの経歴など。お父さんが買ってきたパソコンでゲーム遊びたさにプログラムリストをポチポチ入力、次の段階でプログラムの改造から解析へ、さらに独自でツール作成、パソコン通信にはまり1ヵ月で数万円超の電話料金請求など、プログラマーあるあるな良い話がてんこもり。当時は一般普及していなかったインターネットが特定の大学では使えるらしい、というのが進学理由というのも素晴らしい。

2章ではゲーム会社に就職、その後独立まで。2013年に海外のクラウドファウンディングで知ったVRキット「オキュラス・リフト」を手に入れてから、あまりの衝撃でご自身の活動をVRに全振り。わずか数日でミクを使ったコンテンツを発表、海外にもその人気が波及し話題に。知人を通じて海外のテック系イベントに見学に行ったところ、オキュラスの創始者であるパルマー・ラッキー氏(この本の帯にも登場)と出会い、あれよあれよとオキュラス・ジャパン設立、中心人物に。このジェットコースター感あふれる話のくだりは本書で最高に盛り上がるところです。

実は弊社でも「オキュラス・リフト」を早々に入手し、とある商業プロジェクトで使用できないかをオキュラス社にメールで問い合わせたことがあります。すると、なんとパルマー氏ご本人から、とてもきさくな文面でOKの返信メールをいただいた、ということがありました。本当にいい人だなぁ…

3章の「すべてを支配する“キモズム”理論」は短い章ですが、非常に重要な考えが書かれています。「キモズム」自体は著者の造語らしいですが、わかりやすいので一般化しないかな。新しいもの好きな人だけでなく、誰もが所持する大衆化した商品(自動車、テレビ、スマートフォンなど)となるには「キャズム」と呼ばれる大きな分断を越えなければならない、といった話をわかりやすく説明している章なのですが、本編はもっと面白おかしく書いているのご安心を。

続く4、5章で述べられるのは、VRの範疇に留まらずテクノロジーの進化で世の中がどう変わるかについての著者の考察。日常生活レベルの話だけではなく、教育や政治、国家の形が様変わりする可能性などスケールの大きな展望が語られています。

要約すると難しそうですが、専門知識がなくてもスラスラと読みやすく、何より全編に渡って非常に面白いのであっという間に読めます。本書と直接関係はないのですが、下記のインタビューでも近い内容を語られています。興味ある方はぜひ。

VR普及の鍵は「モテ」と「JK」、GOROmanさんに聞く(前編)

VR関連はこの一冊を押さえておけば大丈夫!おススメです!

次の記事へ