ゲームデザインの本:その1
シャチョーの趣味と実益を兼ねたゲーム関連書籍の紹介、7冊目。
ゲームデザインに関する本はたくさん出ている。企画書の書き方から始まり、ゲームデザイン全般を取り上げるものから、シナリオ、レベルデザインといった細分化されたテーマを取り扱ったものなど。そもそも「ゲームデザイン」という言葉自体、欧米のゲーム開発者が用いる言葉なので原著は洋書という本が多数ある。その手の本は得てして非常に難解で、かつ、きわめて高価。一冊4~5千円ということもザラで、なかなか手が出しにくい。とっかかりとして読みやすく、ゲーム制作の肝を押さえた本として個人的におススメなものがこちら。
『ゲームプランナー集中講座 ゲーム創りはテンポが9割』
http://amzn.asia/0QQpLiS
著者:吉沢秀雄
本を開くと目次より前に「はじめに」という序文がある。
はじめに
まず初めにいきなり結論を言ってしまいましょう。
「ゲームはテンポ」です。
最も伝えたいことが、1ページ目の冒頭2行に書いてある!
まだ本文にすら入っていないという。
まさに、これが「テンポが良い」ということではないかと。
以降、章立てで事例を上げつつ詳細な説明が続くが、全て「ゲームはテンポ」というテーマの補強なのである。極端な話、「テンポの良さ」さえ気にかけていれば本文は読まずとも十分なのである。いや、それは極端ではあるが、最後まで読み終えて初めに戻ってきたときに、なるほど、「ゲームはテンポ」かと腹落ちすることうけあい。
この本では短い言葉でゲームに必要なものとは、ということを定義していく。
短い言葉、というのがまさにテンポの良さ。
例えばアイデアとは、という説明の中でこう書かれている。
核になるアイデアは「気持ちいい」から考える。
敵を倒すと気持ちいい、操作が気持ちいい、謎が解けると気持ちいい、友だちに勝つと気持ちい、高得点を出すと気持ちいい。ゲームで遊ぶ誰もが気持ち良さを求めて手に取るので、作り手は様々な方法で「気持ちいい」を考えよ、ということである。シンプルかつ的確。
『パズドラ』『モンスト』『ツムツム』と今でも人気のソーシャルゲームをそれぞれ要素分解し、遊びの核は何か、気持ち良さはどこにあるか、を探っていく。さらにテンポを損なわないよう、さまざまな工夫が至る所でされていることを説明していく。ゲームが起動する時間の短縮、操作のレスポンス、画面の切り替え、エフェクトの表示時間などゲームとはテンポの塊なのである。
こういった説明を長く書けば書くほどテンポが悪くなるので著者が伝えたいことからますます離れていく気がする… 全14章とボリュームはあるが、平易な文章かつ専門知識がない人を意識して書かれているのでとても読みやすい。ということで、入門書としては最適かと。おススメです!