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制作現場の日常

“ネタのもと”になる書籍

マネージャーの白木です。

ゲーム開発でも初期段階で作成する企画書。
そこに書く必要のある内容の深さにもよりますが、キャラクターや世界観など何らかの設定をいくつも用意していくなかで、”引き出し”を多く持っていなければネタ切れやよいアイディアが思い浮かばず行き詰まることも出てくるはずです。

先日、社内でいくつか企画書を見る機会があってちょうど思い出していたのですが、困ったときにネタ出しや発想の助けになる本を何冊か持っていたので紹介したいと思います。


幻想ネーミング辞典【新紀元社】

言葉は意味が同じであっても文字としての見え方が違えば印象が大きく変わります。

例えば、ブシロード社のTCG『ヴァイスシュヴァルツ』の「ヴァイス」と「シュヴァルツ」は、ドイツ語でそれぞれ「白」と「黒」という意味です。

そのまま日本語として見ると『白黒』となりますが、これが『ヴァイスシュヴァルツ』だとまったく違ったイメージになりますよね。

この本は、ひとつの単語に対してドイツ語のほか、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、ラテン語、ギリシア語、アラビア語、中国語の10ヵ国語の訳がカタカナで載っています。

前述の「白」であれば、ドイツ語の「ヴァイス」の以外に、フランス語なら「ブラン」、ギリシア語なら「アスプロ」……という感じです。

キャラクター名や何かの名称を決めるとき、表現したいイメージに合わせてこの本から普段は目にすることのない言葉の表現を拾うことができます。

和の幻想ネーミング辞典【新紀元社】

上記の『幻想ネーミング辞典』の日本語バージョンですが、こちらはどちらかというと類語辞典に近いもので、例えば色の「赤」であれば、「茜」や「蘇芳」などさまざまな赤系の色の呼び方などが一覧になっています。

難しい印象の言い回しや古風な日本語を探すときに便利です。

類語辞典シリーズ【‎フィルムアート社】

一時期、創作する人たちのあいだで話題になっていたこともあってご存じの方も多いかもしれません。
類語辞典とありますが、このシリーズにはその言葉から連想できるさまざまな状況や状態といった情報が多く掲載されており、連想辞典と言ってもよいものです。

ほかにもいくつか出ていますが、自分が持っているのは以下の5冊ですので、これらについて紹介します。

  • 場面設定類語辞典
  • 感情類語辞典
  • 性格類語辞典 ポジティブ編
  • 性格類語辞典 ネガティブ編
  • トラウマ類語辞典

『場面設定類語辞典』は、物語の登場人物がその”場面”から、何が見えるのか、何が感じられるのか、どういったことがおきるのかといった場面描写やストーリー展開のネタがリストアップされています。

収録されている”場面”は「森」や「学校」など馴染みのあるものから、ふだん訪れる機会がなさそうな「廃鉱」や「法廷」、「核シェルター」なんてものまであり、さまざまな”場面”についての情報が豊富に載っています。

材料をずらっと並べて、おもしろそうなものだけを選んで使うことができる、そんな辞典になっています。小説はもちろん、ゲームでのストーリー構築に活用できるはずです。

それ以外の4冊の類語辞典は人物のほうに焦点を当てたもので、それぞれタイトルにある題材を扱っています。どれも人物の性格や生い立ちなどの設定を肉付けする際のヒントが多く詰まっており、キャラクターを作り上げていく際にとても便利です。

その人物がどんな育ち方をし、どんな出来事があって、どんなことを考え、今に至るのか……そういった情報をこれらの類語辞典を見て集めていけば、自然と活きた”キャラクター”が生まれてくるはずです。


昨今はAIがいろいろと創作を助けてくれるようになってきましたが、こういった”ネタのもと”になる書籍を読んで企画や設定を練り込んでいくのも楽しい作業だと思いますので、本屋で見かけたら手にとってみてはいかがでしょうか。

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