ポケモンGOの本:その2
ゲームに関する本の紹介、前回に続いて『ポケモンGO』関連の本を。まさに生みの親であるジョン・ハンケ氏の自叙伝が日本先行販売という珍しいパターンで出版されたので早速入手。
さてジョン・ハンケ氏がどういう人物かというと、グーグルアース、『イングレス』、『ポケモンGO』を作った人です。地図が共通軸にあるといえばあるが、よくもまぁこんなオバケ級のコンテンツを次から次へと作れるものかと。
『ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険
グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ』
http://amzn.asia/cA2P25O
序文より。
この本は、わたしと飯田和敏さんとの1年以上にわたる対話からうまれました。
飯田和敏氏は『アクアノートの休日』『巨人のドシン』などを生み出されたゲームデザイナー。ご自身が『イングレス』にどっぷりはまり、日本でイベント開催の際にハンケ氏と再会、そこから対話を重ねてまとまったのがこの本であると。どうりで日本が一番初めに出版されるわけだ。余談ですが飯田さんはお会いした際、弊社タイトル『口先番長』を「めちゃめちゃ面白いですね!」とほめていただいたので足向けて寝れず。文化庁メディア芸術祭で『口先番長』が推薦作品となった時の大賞がまさに『イングレス』でした。
ハンケ氏はテキサス州オースティン生まれ。現在のオースティンはハイテク産業都市のイメージが強いが、1960年代は人口わずか1000人の田舎町だったそうで。幼少期にあこがれの作品に大変な苦労をして接するというのはよくある話だが、ハンケ氏にとってはそれが『スター・トレック』だった。『スター・ウォーズ』は映画館で鑑賞できたが、『スター・トレック』は地元の局では放映されずどうしても観ることができない。そこで
わたしにできたのは、その友だちがテレビから録音したカセットテープを借り、「これが『スター・トレック』か!」と耳から聴いて想像することだけでした。
なんと涙ぐましい… しかし面白いのはそのあとで、
ようやく『スター・トレック』を観られるようになったときには、がっかりしてしまいました。頭のなかでつくられた「理想の『スター・トレック』とは似ても似つかないものだったからです。
なんという妄想力。作り手はこうでなくっちゃ。
大学を卒業し、アメリカ国務省(!)に就職。が、あらためてやりたいことはコンピュータエンジニアリングである、と熟考の上、小さなゲーム会社へ転職。世界初のMMORPGを3DOよりリリース。一本目からすさまじい最先端を行っているという。
その後、起業した会社がGoogleに買収されGoogle Geoグループからさまざまなサービスが誕生。個人的には地図アプリに興味と可能性を感じ、前職で『ニッポンのあそこで』というゲームの制作に携わったのでハンケ氏の試み、方向性には強いあこがれがあります。
知らない土地におりたって、あてもなくふらふらと歩くだけでも楽しいのに、『イングレス』にせよ『ポケGO』にせよ、もう一軸全く異なる楽しみが増えるのが素晴らしくて。以前、所用で仙台に初めて行った時のこと、町中を散策していたら公園のはずれのなんてこともない場所にスマホをもって立っている人がたくさんいて、『ポケGO』を起動するとジムがあり納得したのだが、知らない場所で知らない人たちが一斉に同じ動作を言葉もなく行っているという光景に、不思議な感動があったなぁ…
それがあなたに、外に出て、近所やおとずれた土地の隠された街かどを探索したり、旅路でのあらたな出会いをもたらしてくれたらと願っています。
まさに、この本を読んで腹落ちした次第。最終章、座右の銘は”Make them.”とにかく作れ、と。
いいゲーム会社で働きたい、あるいはゲーム会社をたちあげたいのであれば、自分でプロトタイプをつくるしかないのです。
力強い。おススメです!