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社長日記

ゲーム関連の希少本:その二

 依然、リモートワークを継続中です。

 前回も同じ書き出しでしたね。5月下旬に首都圏の緊急事態宣言は解除されましたが、より安全を期し、6月も継続することにしました。数か月行った結果、思いのほか働きやすいという理由もあります。業務でお付き合いのある会社も、ほとんどがリモートワークにシフトしています。臨機応変で適度なゆるさが許されるのが、ゲーム業界の良いところです。

 家で過ごす時間が長くなると行いがちなのが部屋の掃除にレイアウト変更。ゲームソフトの収集は置き場に困ってずいぶん前に辞めたのですが、本はつい買ってしまうので溜まる一方で。古い本を整理しつつ、このブログのために珍しそうな本を探して選んだのが今回の一冊です。

『電視遊戯大全』
テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト:編

 高価な本の常として外箱に収められたこの本。大きさは前回の『新明解ナム語辞典』と同じでB5判。子どものころたくさん読んだ「学研の図鑑」シリーズを彷彿させる。

 本書の恐ろしさは表紙をめくったところから始まる。なんと、全ページがリングで綴じられているのである!ひと昔まえ、携帯電話やスマートフォンが普及するまでよく見かけた、ルーズリーフの手帳などで使われているリング綴じ。市販している本で使われているのは、ほとんど見たことがない。少なくとも我が家にはこの一冊だけ。

 前書き代わりにゲームに関する年表や成り立ちが書かれているが、本編に進むとさらに驚くことになる。なんと1ページが3ブロックに分かれているのだ。狂気を感じるレイアウト。

・上段は語句解説やゲーム関連のコラム。
・中段はゲーム開発者(まだゲームクリエイターという言葉がない時代)や、
 ゲームメーカーを日本、世界幅広く紹介。
・下段はゲームタイトル紹介。こちらもPC、家庭用、アーケードと幅が広い。

 なんとややこしい構成か。しかも、これらが別々になることで得られるメリットがさほどなく、むしろ読みづらい印象すらうける。強いて言うなら、上中下段をバラバラに読み進めることができるので、飽きないかもしれないが、コストバランスが悪すぎる。

 日本のみならず海外のクリエイターやメーカーの記載が多いのもこの本の特徴。伝説のプログラマー、ナーシャ・ジベリ氏やロード・ブリティッシュことリチャード・ギャリオット氏の若い頃の写真などはここでしか見れないのではないだろうか。

 初版は1988年、総監督(本では珍しい肩書だが)として石原恒和。現在は株式会社ポケモン代表取締役の、あの石原さんである。若い頃から尖ったお仕事をされていたのだな、と感涙。定価3500円らしいが、オールカラーでこの装丁、元が取れると全く思えない。この本全体のアプローチがゲームの紹介というより、メディアアート的な切り口で編集されており、非常に趣味性が高く感じる。思うに、何らかの情報を得る経路として紙媒体がまだまだ力があった時代だからこそ、ここまで凝った本が出版できたのではないか、と思う。ある意味、うらやましい。

 本書も数年前は3~4万円くらいで売買されていたが、最近はそこまで高値が
つくことはないようだ。30年以上前の本なのに「ゲーム依存」のような事が
取り上げられているなど、先見性も素晴らしい。お気に入りの一冊です!

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