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社長日記

フォントの本

今回、紹介する本は今までの中でも一番変わった本かもしれません。表題にある通り、様々なゲームで用いられる「フォント」だけで構成された書籍です。

『アーケードゲーム・タイポグラフィ ビットマップ書体の世界 』
大曲 都市 (著)


この本の存在を知ったのは、海外ゲームの情報サイトだった。さすが英国、面白い切り口の本を作るものだと感心し、英語は読めないが即座にAmazon.ukで発注。しばらくして手元に届き、期待に胸を膨らませてページをめくる。

想像以上にゲーム画面よりも圧倒的にフォントだけのページが多い。

アルファベット26文字と数字10文字、合計36文字。モノクロもあれば、カラーも。アーケードゲーム黎明期の1970年代から3Dグラフィックスが登場する直前、1990年代のゲームが中心。その多くが8×8のドットで構成されている。色数も制限されているのに、なんと個性的かつ表現力の豊かなこと。

特徴的なのはメーカーやジャンルで分けた掲載ではなく、フォントの種類ごとに区分された構成。レギュラー、ボールドといった塩梅。

アルファベット一覧を基本としつつ、見開きで2文字だけ紹介するなどダイナミックなページもあり、とても面白い。これで解説文が読めればもっと面白いのにな、と考えていたら日本版、近日発売の報が。まさか翻訳されるとは…

ということで日本版も続いて購入。やはり説明が面白い。

本書 P.120より

<魔魁伝説>のゲームはひどいが書体はすばらしい。バランスの悪い難易度、むちゃなタイムリミット、ろくな品揃えのないアイテムショップ、貧相なグラフィック、暗い音楽。そんな中でこのカラフルなグラデーションとわずかに斜体のかかった数字を持つローマン体系のフォントは、このゲームで最も魅力的な部分であるのみならず、世に出ているローマン体系のゲームフォントとしても、最も優れたもののひとつと言える。

前半のゲーム説明はたいそう手厳しいが、フォントは最高らしい。

同じく、P.160より

<マッハブレイカーズ>では超人的なアスリートが、ミサイルを使ったやり投げなどの12の破天荒な競技を行う。ナムコはもっぱら自社作品にパックマン書体を使っていたが、ここではスポーツというテーマに合わせて、斜体をかけてダイナミックさを出したかったのかもしれない。使われている8色のうち半分はアンチエイリアスの機能を担う。アンチエイリアスのための色は注意深く配置され、ギザギザとぼかしの中間のような視覚効果を出している。

ゲーム性からそこまで考察するのか、と大変興味深い。

元のゲームを知らずとも、フォントの良しあし(小文字のqが惜しい、などその指摘は細部に至る)だけで十分楽しませる。何より、見ているだけで美しい。果たしてどれくらいのファンがいるのか、全く未知数ですがゲーム好きかつフォント好きには大変おススメです!

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