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社長日記

小島監督の本

全世界待望の一作、『DEATH STRANDING』が2019年11月8日、ついに発売されました。

『DEATH STRANDING』

『メタルギア』シリーズの生みの親でもある小島秀夫氏が長年在籍していたコナミを離れて初となる作品です。

弊社では月に数本、気になるゲームを研究開発目的で購入する制度があります。本作も発売日に入手し、スタッフと一緒に冒頭をプレイしました。ほんの触りだけですが、圧倒的なオリジナリティと自然表現のクオリティにしびれました。気になる続きは自宅でゆっくり遊ぶ予定です。

ということで、今回は『DEATH STRANDING』発売にあわせて刊行された小島監督の著作を取り上げたいと思います。

『創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち』
小島 秀夫 (著)


小島監督のツイッタープロフィールは下記の通りである。

ゲームデザイナー:僕の体の70%は映画でできている

ゲーム業界でディレクターに当たるポジションを「監督」と自ら呼称したのは、私が知る限り小島秀夫氏が初めてだと思う。実際、開発を率いる「現場監督」という立ち位置なので正しい肩書なのだが、それ以上にやはり「映画監督」のイメージがあって使われているのでは、と想像する。様々なインタビューや著作でも、常々、映画から多くを学んだことを公言されている。(そのあたりは『僕の体の70%は映画でできている―小島秀夫を創った映画群』という本に詳しい。)

本書は映画だけでなく、小島監督のクリエイティブの源泉となった本、映画、ドラマ、音楽などについて幅広く取り上げられたエッセイ集。副題の「僕が愛したMEMEたち」について書かれた一冊である。二章構成で、一章が主に本の紹介、二章はそれ以外の媒体、とわかれている。

そもそもあまり聞きなれない「MEME」とはどういった言葉であろうか。

・ミーム
《gene(遺伝子)と(ギリシャ)mimeme(模倣)を組み合わせた造語》模倣によって人から人へと伝達し、増殖していく文化情報。文化の遺伝子。英国の生物学者R=ドーキンスの用語。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

提唱した進化生物学者リチャード・ドーキンスの著書『利己的な遺伝子』で初めて登場した概念だが、最近は「インターネット・ミーム」など新しい用いられ方でより認知が広がった感がある。本書のタイトルが『創作する遺伝子』、このあたりも小島監督の得意なオマージュであろう。

序章にて下記のように書かれている。

世界中に、本や映画や音楽は無数にある。それらを全て体験するのは、到底無理だ。だから、自分が死ぬまでに、どんなものと出会えるか、というのが僕の人生において、重要な意味をもっている。

~中略

だから僕は毎日、本屋に通う。
出会いを創るために、通い続けるのだ。

『メタルギア』シリーズや『ZONE OF THE ENDERS』シリーズなど、SFに強い影響を受けているのは想像に難くないが、本書で紹介されている本は

『阪急電車』 有川浩
『錦繍』 宮本輝
『山月記』 中島敦

など、純文学や恋愛小説など幅広い。もちろんSF、ハードボイルド、推理小説なども多数取り上げられている。どの本も面白そうなのだが、中でも

「まさに僕のオールタイム・ベスト! これを超えるプロットに出逢った事がない。」

と書かれた『シャドー81』は、不勉強ながら知らなかった。オールタイム・ベストって、どんなジャンルでも最高な誉め言葉だと思う。早速、読まないと。

あとがきより。

”僕が愛したMEME”は僕とあなたを絆(ストランド)で結びつけて、新たなMEMEを創造してくれるだろう。
それを願い、僕は今日も本屋に足を運び、まだ見ぬストランドを探す。

最近、街中の本屋が減る一方で確かにふとした出会いがなくなりつつある。毎日は無理でも、週末には久々に書店へ行ってみよう。『DEATH STRANDING』ともども、おススメの一冊です!

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