電ファミの本:その2
前回、「電ファミニコゲーマー」というゲームメディアにて連載されている記事の書籍化を紹介しましたが、なんと月に一冊ペースで続巻が発売されることがわかりました。大変うれしい限りです。ちなみに「電ファミニコゲーマー」は企画コーナー以外にも読み応えたっぷりな独自記事がたくさんあるので要チェックなメディアです。最近だとコレとか。
『シンカリオン』×『スパロボ』鼎談!改めて考えるロボットアニメの面白さと『シンカリオン』の重要性
軽い気持ちで読むと昼休みがまるまるつぶれてしまうので、自宅でゆっくり読むことを推奨します。ということで、前回に続いて「電ファミ」書籍のご紹介です。
『ゲームの企画書(2) 小説にも映画にも不可能な体験』
電ファミニコゲーマー編集部 (著)
一巻がインタビュー記事4回分で構成された本で、一つのインタビューがなんと長いのかと驚いていたら、二巻はインタビューが3回とさらに減っているという(笑)
第1章 『バーチャファイター』とゲームの操作性 (鈴木裕×原田勝弘)
第2章 『ダビスタ』の予想もつかないアルゴリズム
(薗部博之×田谷正夫×一之瀬剛×森本茂樹)
第3章 VRで感覚を統合する『Rez』 (水口哲也×清水亮)
『バーチャファイター』の生みの親、鈴木裕氏と『鉄拳』の育ての親、原田勝弘氏。それはページがいくらあっても足りないであろう。このインタビューのみで100ページ近いボリューム。都市伝説のように語られている『VF』開発時、スタッフに格闘技を習わせたという話も以下のように取り上げられている。
鈴木:うん、みんなで拳法の練習をして、僕のOKが出るまでコンピュータを触らせないことにしました。
一同:(笑)~中略
鈴木:~「これからは一つの良いパンチ、良いキックが出るまで、他のモーションを作ることは禁止」という業務命令を出しました(笑)
私は大学を出て新卒でセガ・エンタープライゼスに入社したのだが、社内のロケテストで『VF』を見た際の衝撃はいまだに覚えている。なんてすごいゲームを作る人たちがいるんだ、と。
第3章は同じくセガ出身のクリエイター、水口哲也氏のインタビュー。マイケル・ジャクソンが自ら出演を申し出た『スペースチャンネル5』や、一作目から15年の時を経て発売された『Rez Infinite』がVR関連でゲームのアワードにて多数受賞など、いまだに最先端で活躍されている方。本インタビューはセガ入社前後のエピソードが特に面白い。新人研修が終わって一年目で「自分で格好いい部署名を考えろ」と役員に言われ、新たに研究室を立ち上げるなど最高である。
後書きより。
人間にとって何かしら気持ちのよいテンポで物事が進み、気持ちのよいリアクションが返ってくる。その繰り返しが心地よいから、人はそのゲームに没頭してしまうのである。
ゲームのもたらす生理的な快感はこの文章に集約されている。面白いゲームを作る人の話は、間違いなく面白い。おススメです!