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社長日記

電ファミの本:その1

「電ファミニコゲーマー」というゲームメディアがあります。

以下、公式HPより引用。

ゲームタイトルからゲームクリエイター、さらにゲーム実況、人工知能からVRまで、あらゆるゲームに関する話題を厳選・深掘り。
既存の枠組みに囚われず、コンテンツ業界全体に響くような記事を作ることで、ゲーム業界全体の利益になるような「最先端のハイクオリティメディア」を目指します。

雑誌ですと週刊、月刊など発売サイクルが決まっており、かつページの量も増減が難しいのですが、Webの場合はそういった制約がありません。Webの特性を最大限に活かし、字数の制限がなく、深堀りに徹した記事がたくさん掲載されておりいつも楽しく拝読しています。

連載の一つに「ゲームの企画書」というコンテンツがあります。日本のゲーム産業の黎明期を支えたクリエイターの活躍、その背景をヒアリングし、後の作品群にどういった影響を与えたのか?聞き手と語り手が双方、ゲーム業界のトップランナーという組み合わせであることで、毎回、濃密なインタビューと考察で構成され、一番楽しみなコンテンツでした。それらがまとめられて書籍化されたのが今回の一冊です。

『ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない』  
電ファミニコゲーマー編集部 (著)

基本的にはWebで公開された記事がそのまま収録されている。したがって読もうと思えばWebであれば、無料で読むことが可能。しかし、帯にあるとおり「全クリエイター必読!!」なのである。いつでも手元で読み返す価値のある本。どんなコンテンツも制作するにはコストがかかり、コストの回収という点では受け手はその対価を払うべきなのである。したがって全て過去に読んだ記事だが迷わず購入。

目次を見ると過去4回のインタビューが収録されていることがわかる。全260ページの本で、たった4回のインタビューとは。いかに一回のインタビューが長編なのかと。

第一章 『ゼビウス』 遠藤雅伸×田尻智×杉森健
第二章 『桃鉄』 さくまあきら×桝田省治
第三章 『不思議のダンジョン』 中村光一×長畑成一朗
第四章 『信長の野望』等 襟川陽一×襟川恵子×佐藤辰男

なだたるゲームに、錚々たる方々。面白くならないわけがない。内容に関しては、ぜひ手に取って確かめていただきたい。興味がある方はまずWebから。試し読みではなく、全て読めるのでこれで採算がとれるのかと心配してしまう。繰り返します、買いましょう。

どのインタビューも面白いのだが、この中では第四章の襟川夫妻の話が何回聞いても面白い。当時の回想の中で、さらっと起業したばかりのソフトバンク孫正義さんが登場したり、世界初の女性向けゲーム『アンジェリーク』は企画構想から発売まで10年がかりだったりとエピソードのふり幅がいちいち大きい。まさに太閤立志伝。

書籍化にあたり、あとがきが追加されており、一部を引用する。

『ゼビウス』の話に限りませんが、一連の取材を通して常々思うのは、何かが生まれる瞬間、あるいはその場所というのは、独特の”熱”があるということです。それには、もちろんビジネス的な要素(お金が儲かる)も欠かせないわけですが、それだけではありません。その”熱”とは、いろんな文脈、思い出、野望、あるいは劣等感など、さまざまなものが混ざり合って醸成される”何か”だと思うのです。

その熱量の大きさと作品の内容は見えない何かでリンクしている気がする。読んでいるうちにあなたも何か作りたくなるはず。繰り返します、買いましょう。おススメです!

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