代々木でゴハン:その9 ムーンボウ
弊社のある代々木はオフィス街というよりも住宅街という感じで、都心であるのに閑静な街並みが気に入っています。最寄り駅はJR代々木駅なのですが、ほかにも歩いて10分弱の場所に小田急線南新宿駅という駅があります。実は南新宿駅は小田急線全70駅の中で最も乗降者数の少ない、都会の過疎駅の一つなのです。
いろいろ原因はあるのでしょうが、一番の理由は隣の新宿駅まで800m、代々木駅まで300mという立地な気がします。各停以外は一切停まらない南新宿駅を利用するならいっそ別の駅まで歩いたほうが早かろう、と。
ちなみに隣の新宿駅は1日の平均乗車数が約350万人と、世界一利用者の多い駅です。ギネス認定もされているそうです。
それに対してたった一駅離れた南新宿駅の一日当たりの乗車数は約4,000人弱。ターミナル駅の隣駅は利用者数が少ない傾向にあるらしいですが、それにしてもこの差はすごい。かくいう自分も代々木にオフィスを構えるまでは利用したことがありませんでしたが、実際に行ってみると駅から出てすぐに商店街があり、こじんまりとした美味しそうなお店があちこちに。今回はそんな都会のエアポケット、南新宿のランチどころを紹介します。
南新宿駅から徒歩30秒くらい。と聞くと賑やかな場所にありそうだが、このあたりはほとんど路地のような細さの道が多く、昼にもかかわらず人影はまばら。小さな建物の一階、あざやかな青いドアのお店が『ムーンボウ』。
空いている時間を狙って13時すぎに到着。このお店のランチはメニューが一つのみで、店の前に出ている立て看板に書かれた日替わりカレーだけという潔さ。なにせメニューに種類がないのでオーダーする必要がない。店に入り、空いている席に座るとマスターがすっとお水、ナプキン、スプーン、フォークをセット。この所作が無駄がなくてとてもかっこいい。後日、食べログでレビューを見ていたらほぼ全員がカレーのおいしさとあわせて、マスターの人柄とかホスピタリティについて触れていた。わかる。
このお店は夜はバーで、ランチタイムにカレーを提供しているらしい。店内のいたるところに貼られたミュージシャンの写真や大量にあるレコード、CDをしばし眺る。ボ・ガンボスのどんとさん!懐かしい…
間を置かずにピクルスが届く。すっぱくておいしい。カレーの付け合わせ、というよりハンバーガーに挟まってるアレ。単体でもポリポリいけちゃう。
しばらくするとこんもりと盛られたカレーが到着。今日はナスと挽き肉のカレー。こちらのカレーはさらっとしていて油っぽさがほとんどなく、とても食べやすい。ターメリックライスも固めに炊いてあり、これまたおいしい。ドロッとしたカレーではなく、しゃばしゃば(といってもスープまでいかない)なカレーだが、スパイスの辛さはしっかりとあり、食べ進めるうちにじわじわと汗が出てくる。ライスの量もけっこう多いが、全体的にあっさりしているのであっという間に完食。
適度な頃合いでセットのチャイが目の前で作られる。湯煎して温められたコップに、高い位置にあるヤカンからお茶が細く長く注がれる。そのしぐさがかっこよくて。普段、コーヒーや紅茶を飲むときはノンシュガーだが、チャイは別だ、ここぞとばかりにどばどばと砂糖を入れて甘々にする。先ほど食べたカレーの辛さと相まって、格別おいしい。カレーとチャイのセットで800円、これは安い。
味良し、雰囲気良し、値段良しと言うことないのだが、唯一の欠点はマスターが一人で店を回していて、あまり量をさばけないことだろうか。実際、自分が行った時も13時過ぎの時点で、最後の一皿と言われて危ないところだった。ルーがなくなり次第、ランチはおしまいだそうで。
仕事がら、お昼ゴハンを食べるのはもっと遅い時間なのでなかなか来れないのが残念。隙あらば通いたいお店。ごちそうさまでした~