名越稔洋氏の本:その2
祝!PS4『JUDGE EYES (ジャッジ アイズ) :死神の遺言 』発売!
昔も今も、日本でゲームソフトが一番売れるのはクリスマスからお正月にかけて、つまり12~1月がゲーム業界最大の商戦期と言われてきました。各メーカーはこぞって自社の看板タイトルをこの時期に発売できるよう、年間計画を立てます。最近の家庭用ゲームはいわゆる洋ゲー(海外タイトル)の超大作が売れ筋ですが、そんな中、数少ない純国産のビッグバジェット大作の一本が、この『ジャッジアイズ 』でしょう。
『JUDGE EYES (ジャッジ アイズ) :死神の遺言 』
発売:セガゲームス
http://amzn.asia/d/8Ee1OcL
余談ですが、週に数回は富士そばに通う私。『龍が如く』コラボメニューでおなじみの「赤富士そば」が『ジャッジアイズ』発売記念ということで、期間限定で復活しました。嬉しい限りです。
ということで前回に引き続き、日本を代表するゲームデザイナーの一人、名越稔洋氏の本の紹介を。
『龍の宿命 『龍が如く』を作った男 名越稔洋』
龍の宿命制作委員会 (著)、名越 稔洋 (編集)
http://amzn.asia/d/cpEPUGZ
前回紹介した本は『龍が如く』発売以前の話が多かったのですが、この本はタイトルの通り、『龍が如く』が発売され、大ヒットとなった後の話が中心です。冒頭からしびれます。少し長くなりますが、引用します。
『龍が如く4』国内販売、初週出荷本数五十万本突破。
この吉報を聞いた時の感慨は計り知れません。私はセガのゲームクリエイターとして、二十年以上にわたり開発に努めてきました。しかし、『龍が如く』ほど己のすべてを賭けて挑んだ作品は他にありません。そんな作品が第一作発表から順調にシリーズを重ね、2010年には日本国内で数十万人に待ち望まれる大ヒットタイトルとなりました。まさに感無量です。
わずか数行の文章ですが、名越氏の思いの丈が凝縮されています。
この本には『龍が如く』一作目の企画立ち上げの困難さ、開発中は類似タイトルがないゆえの苦労、そしてゲームの完成が見えてくると今度は販売や宣伝における諸問題など、発売にたどり着くのが極めて難しいゲームであることがたっぷり書かれています。社内の行く先々で、
「そんなゲーム、売れるわけがないだろう」
と圧倒的な反対意見ばかり。普通は、ここで折れがちになるのですが名越氏は
「誰もが知っていて、誰も手を出してないものが一番面白い」
という確信のもと、企画成立に向けて社内を奔走。賛同者も少しづつ現れるが、失敗を恐れて全面的な支持に回る人間はほとんど出ない。また本書からの引用。
この時名越の脳裏に、師・鈴木裕の言葉が浮かんだ。
「新しいことをやって理解されるはずがない。
理解されると思っているほうが甘いんだ。」
『アフターバーナー』『バーチャファイター』など、革新的なゲームを数々生み出した鈴木裕氏の教え!熱い!熱すぎる!
とまぁ、本書は本来『龍が如く4』発売に合わせて、シリーズを振り返るという構成なのですが、「大人のエンターテインメント」という今でこそ市民権を得ているジャンルが生まれた経緯はゲーム以上に面白く、本シリーズを遊んだことがない人でも全く問題なし。おススメです!