AIの本:その2
暑い日が続きますが、皆さま元気にお過ごしでしょうか。先週は弊社の夏期休暇期間につき、更新をお休みさせていただきました。
今年の夏は高校野球100周年記念大会ということで、近年まれにみる盛り上がりでしたね。昔はテレビにかじりついて見ていたものですが、いまやインターネットでのライブ中継サービスやら、その後のダイジェスト動画、はたまた各種SNSの投稿などナマで見る以外に様々な楽しみ方が増えて便利な世の中になったものだと感心することしだい。
いずれもテクノロジーの進化により人間の生活は豊かになる一方。中でもAIの様々な分野における活用には、各方面より大きな期待がもたれています(強引)。ということで、シャチョーの趣味と実益を兼ねたゲーム関連書籍の紹介コーナー、AIに関する本を前回に引き続いてピックアップ。
『高校生のためのゲームで考える人工知能』
三宅 陽一郎 (著), 山本 貴光 (著)
http://amzn.asia/iDvVeYE
高校生のための、とありますがどのあたりが高校生に向けて書かれたのかさっぱりわかりません(笑)確かに全編に渡って平易な言葉で書かれていますが、その内容はというと、ある程度ゲーム開発の知識を持つ人でないとなかなか難しいのでは?という気がします。
タイトルにある「ゲームで考える」をもう少しとっつきやすく書くと、「ゲーム制作を題材に、AIの効果的な活用方法を具体的に考える」という感じになるかと思います。本書は三章構成となっています。
第一章 キャラクターに知能を与えよう
第二章 環境のなかで人工知能を動かそう
第三章 メタAIでよき遊び相手を目指す
章を追うごとに、複雑なことをAIに行わせようということがわかります。その目的を本文より抜き出すと
>人間はけっこう贅沢といえば贅沢なもので、ゲームに出てくるモンスターが強すぎて勝てないのもつまらないし、逆に弱すぎて手応えが全くないのもつまらなかったりします。(P.150)
中略
>プレイヤーが楽勝で退屈を感じない程度にはうまく攻撃したり、ときにはピンチまで追い詰めたり、あるいはぎりぎりで敗れてしまうかもしれないとプレイヤーに思わせておいて、最後はモンスターがうまく倒されてほっとさせたりと工夫も必要です。(P.151)
こんな高度なことがはたして出来るのか?その解法の一つとして、著者はAIの組み合わせを提唱しています。事例で上げているゲームでは、
敵をたくさん出す>均衡を保つ>徐々に敵が減る>安全になる>安全な時間が一定を経過するとまた敵を出す
というように、プレイヤーの緊張度をAIにコントロールさせることで、パターンに陥ることなく新鮮な気持ちで毎回異なるプレイ感を実現しています。緊張と弛緩はゲームにおいて最も重要な要素の一つなのです。
…やはり高校生向きな気はしませんが、読み終えたころにはゲーム開発の知識量が増えることは間違いないかと。プランナー志望の方におススメです!